しばらく、駅に向かって2人して無言で
歩き続けた。
私はこの微妙な雰囲気に耐えられなくて
必死に話題を探す。
するとその人は言った。
「お前名前は?速水、なんていうんだ?」
あ、名前……笑
そう言えば、知らずに傘に入っていたよ。
「あ、流音!速水流音……です!よ!」
急に話しかけられたせいか、声が
上ずってしまった。
「ふーん。流音、ね」
「う、うん。えーっと……」
「俺は、後藤優李」
『そっちは?』って言おうとした私の
言葉を遮って、彼は言った。
「後藤……くん、か」
「おう」
「なんか、優李って女の子みたいな
名前だね!」
つい、思ったことを口に出してしまった。
「は?お前ばかにすんじゃねーぞ」
「あ、はい、すいませーん」
なんとなく、話しやすい。