お父さんなんて言ったの?
何を言いに来たの?
もう一度話したいよ。
お願い離れていかないで。
もう1人は…。
ギュッ
「大丈夫。落ち着け。」
人に抱きしめてもらったのはいつぶりだろう。
こんなに人の温もりは心地いいものなの?
さっき会ったばっかの人なのに
もう心を許しかけてる。
ギュッと腕を回し力を入れると
それよりも力強く返してくれた。
「お父さん…。」
「お父さん?」
「ごめん。何でもない!
ごめんね!離れるね!」
今できる精一杯の笑顔をし
航汰の胸を力一杯押し返した。
「…大丈夫か?」
航汰の表情は
本当にあたしを心配してくれてる顔で… でもごめん。話せない。
話すのが怖いから…。
キーンコーンカーンコーン
「大丈夫!昼休み始まったし戻るね!
また今度!」
ガチャッと屋上のドアを開け
階段をくだる。

