目を覚ました花織の視界に一番最初に目に入ったのは、山崎の顔だった。


看病をしてくれていたのだろうか......。


「花織、目覚めたんやな! 大丈夫か?」


そう言った山崎は心配そうな顔をしていた。


「すみません。烝さん」


花織は忙しいのに、と付け加えた。


「ええんや、花織は気にせんで。」

山崎の表情は柔らかかった。


そして山崎は続けた。


「多分花織は安藤のこととかで自分のことを責めてると思うんや。
でもな、そんなに自分を責めたらあかん。どんどん苦しゅうなってまうで」



それでも、私はどうなるか知っていた。


なのに何もできなかった。


花織はやっとの思いでそう伝えた。



「なんにもできてないわけないやん。
永倉さんと藤堂さんが怪我せんかったのも花織のお陰やろ?」


一粒、涙が伝ったと思うと、涙が堰を切ったように流れ出した。



そして、そんな彼女の背中を山崎はさすっていた。