島原を出たあとも私の手首は山崎に握られているままだ。 そして、よく考えてみると私はまだ芸妓姿なわけで。 女子として、彼と二人で屯所に帰っていることになる。 そう思うと、顔が熱くなっていく気がした。 「ちょっと、そこの人!」 そう呼び止められ、花織たちさんは振り返る。 「恋に熱いからって、芸子のお持ち帰りはきちんとした手順を踏んでもらわないと」 その男の人がそういうと、私たちの周りはざわざわしだした。