個室に静寂がおとずれる。
先に口を開いたのは、烝さんだった。
「ごめんな...。」
そして、意外にも謝られたのだ。
「そんな...。烝さんが謝ることじゃ...」
声が震えてうまく出せない。
「怖かったやろ...。
あんなことになるまで助けられんくてごめんな...。」
ああ...。心配されてる...。
本当に怖かった。慣れない着物に京言葉。
いくら新選組隊士とはいえ、烝さんが来てくれなかったらどうなっていたかわからない。
それでも、正直に言えず、強がってしまう。
「こわくありませんでした...。
それに、烝さんが来てくれたし、もしもなんかされそうになったらあいつの急所蹴りあげるつもりだったんで!」
笑顔で言ってみたつもりだが、うまく笑えてる自信はない。
そのとき、私の体は暖かく包まれた。



