ふわふわ、くらくら。

浮遊感が消え、目を開けた。

途端に差し込む、茜色。
聴覚を刺激する川のせせらぎ。
にわかに、柔らかい花の香をきいた。

此処が何処なのか。
それを理解することは花織には容易であった。
無論、他の人にとってもそうであろう。


ゆっくり立ち上がる。
軽い立ちくらみがして、思わずこめかみを抑えた。
しかし、それすら気にせず、あたりを見渡した。
緑の河原が広がり、目の前の川は、黄昏の金色の光をきらきらと反射させていた。


ここから、すべては始まったのだ。