それからの日々というのは、呆気ないほどはやく過ぎていった。


医師から動いていいと言われるまで、花織はひたすら机の前に座り、あるものを書いていた。


あるもの。それは、これからの新選組の運命を書いた予言書である。

花織は、ここのところ、ずっと夢を見ていた。
平成での毎日の夢だ。
夢から覚めると、とてつもない寂しさにかられて、切なくなる。
なんとなく分かっていた。
もうすぐ、帰らなければならないということを。


知っている人も、ものもなにもない幕末で、私に居場所を与えてくれた皆に、最後になにか出来ることを考えてみた時に、思いついたのが、この予言書を書くことだった。


五稜郭の戦いで、土方が命を落とすまで、できるかぎり正確に綴ったつもりだ。


だからこそ、苦しかった。


本当はもっと、みんなと戦っていたい。
新選組を、この人たちの全てを最後まで見届けたい。
そのためになら、この身体が朽ちてもいいと思える。


だけど運命は残酷で。
決められたルートから外れようとすることさえも許してくれそうにない。