「久しぶり。侑也。」
「久しぶり。マコト。」
久々に聞いた、侑也の声は、低くて、やさしい声だった。

「マコト、今時間ある?話したいことあるんだ。」
「うん。あるよ。」
「じゃあ、屋上いこ。」
「うん。」
私たちは、授業をサボって屋上へと向かった。

「マコト、ただいま。」
「侑也、おかえり。」
「ありがとう。」
「・・・なんで?」
「ん?」
「なんで、いきなりいなくなったの?言ってくれてもよかったじゃん!」
「ごめん。いきなり決まって、言えなかったんだ。」
「んじゃ、なんで?」
「・・・」
「なんで、また戻ってきたの?」
「それは、マコトに言いたいことがあったから。」
「聞きたくない。」
「どうして?」
「ずるいよ。侑也はずるい」
「ごめん。」
「謝らないで!」
「・・・」
「私は、もっと、侑也に伝えたいことがあったのに・・・」
「なに?」
「もう、遅いよ。」
そう、もう、遅いんだよ。今更帰ってきたって、遅いんだよ。
あの日私は思い知ったんだ。私が、人を好きになったら、その人が、どこか遠くに行ってしまうような気がして。人を好きになることが怖くなった。侑也みたいに、いきなりいなくなっちゃうんじゃないかって思って。

「遅いなんて言うなよ。」
「・・・」
「もう手遅れってことか?」
「そーだよ。」
そーなんだよ、もう、手遅れなんだよ。侑也。