優……



優にはそんなに大切な好きな人がいるのか



無理矢理付き合ってまで、守りたい好きな人がいるのか



でも私は


小林先輩の分も、幸せになんなきゃいけない



だから、絶対に諦めない



って言っても…




初めての『恋』なわけだし



何していいか分かんない



まぁとりあえず今まで通りに……






そんなこと考えてたらもう教室の前だった



ガラッ



っ!?



誰もいないと思って入ったら、ちょっと今は会いたくない人がいた




「おせぇよ」



そう言ってけだるそうに呟くアイツ




高野 優



「…別に待っててなんて言ってないんですけど」




「あー、悪りぃ。

俺が勝手に待ってただけだったわ」



へらっと笑う優



なんか…優が素直すぎて気持ち悪い



「私、もう少しいるから、先帰ってて」



「いや、無理」



「なんで」



「凛に用事があるから」



真剣な瞳でこちらを見る優にドキッと心臓が高鳴る



「な、に?」




「凛、誕生日おめでとう」



そう言って差し出された優の手には、可愛くラッピングされたプレゼントが握られていた


私が一番欲しかった、優からの誕生日プレゼント




「…ど、どーも」



私はそれを受け取り、袋にしまう




「それと……」



……まだあんのか?



「俺…華先輩と別れた。」




「……知ってる。


それだけ?言いたいのは」



少しイライラした口調で聞いてしまう私




どうせ好きな人がいたからつきあったんだもんね




「…そっか。

じゃあ、なんで付き合ったのかも知ってる?」



「まぁ」



「…そっか。


俺、好きな人がいるんだ」



「……知ってる」




ズキズキと心臓が痛む



あぁ、また恋煩いだ




「俺、その人を守りたいから一週間だけ華先輩と付き合った。

別れたら、ちゃんとその人に気持ち伝えようと思ってる」



そっか、良かったね



きっと優なら大丈夫だよ



あーああ、また失恋かー…



ごめん小林先輩、私小林先輩の分まで幸せになれそうにないや