「「「きゃーー!」」」
校庭に入るなり聞こえてくる歓声
「ほんと天野さんは人気者よね」
隣で保健の先生が呆れたように言う
「凛様!怪我は大丈夫なんですか!?」
「無理しないでください!」
「あの、良かったらこの絆創膏使ってください!」
だから絆創膏じゃおさまりきらないんだっつーの
『静かに。
みんな揃ったところで、これから体育祭閉会式を行う』
マイク越しに女の教頭の声が聞こえた
私はB組の列に混ざり、話を聞く
周りの人たちに「大丈夫?」って質問攻めされたけど
「知らね」と言って前を向いた
『さて、今日は天気にも恵まれ……』
ハゲ校長が話し出した
てかそれって開会式ん時も言ってなかったっけ?
まぁ、いっか
私はボーッと立ちながら、話が終わるのを待った
『次は、結果発表です。』
お、きたきた!
これを待ってたんだよ私は
これを聞くためにわざわざ閉会式に来たんだ
『えーと、まずは応援賞から………』
……応援賞とか興味ない
どうせ私はほとんど寝てたしな
『では、優勝の学年の発表です______』
いよいよか…
『優勝は_________第、2学年』
「「ワァァァァッ!」」と2年生が喜び出す
まじかよ…
あー、くそ悔しい
私は隣でバカ騒ぎする2年生を少し睨んだ
『静かに。
それでは、今年から作られたMVPの発表に移ります。
MVPは男女1人ずつです。
名前を呼ばれたものは返事をして前に出てくるように』
MVPか…
特に目立つことしてねぇし、それはありえねぇだろうな
あり得るとしたらリレーでヒロを抜いた三年生か
『では、男子から発表します。
男子のMVPは…3年C組、梅宮勇人!
彼は一生懸命応援を頑張っていました。』
うめみや はやと…?
「はい」
遠くの方で返事をするのが聞こえた
って、あれは確か、3年の応援団長
みんなに背中を叩かれながら前に出る梅宮勇人
人の良さそうな見た目だった
『それでは次に、女子のMVPを。
女子のMVPは、皆さん想像できますよね?』
そう言って子供みたいな笑みを浮かべる教頭
いや、想像できねーよ
「「「「できまーす!」」」」
……。
なんだよ
わかんねぇのは私だけか