「じゃ、まず血を洗い流さなきゃね…

二人とも、立てる?」



グッと体に力を入れると、ズキっと傷が痛む


「…無理っす」


「あら…
じゃあ少し待ってて!

神崎くん、ついてらっしゃい」



少しフラつきながら立つヒロを連れて、先生は外の蛇口へ行った



ふと足に目をやると、まだ血が出てきていて、とても痛々しかった



膝から足首まで擦れていて、少しグロい



肘も、全体的に擦り剥けていて、肌に血がこびりついていた



ふと頬に傷みが走り、はっと思って近くにあった鏡を見たら、右頬から少し血が出ていた



…やべーな、これ



運動着も土と血で汚れている



はぁとため息をつき、背もたれにぐったりと体を預ける



校庭からはみんなの声が聞こえてきた



あー……


体育祭までには治っかな?



「おい凛、大丈夫かよ」




不意に保健室の入り口から声がした


「優?」



そこには額にうっすらと汗をかいた優がいた



「あれ、練習は?」



「今休憩。
だから凛とこ来た。

大丈夫かよ、お前」



心配そうに見つめる優の表情に胸がドキッとなった



なんだこれ…



「大丈夫では…ない」



「だよな…」



おかしい…


優が私の心配をするなんて。



「あんな派手な転け方したもんな」




「んな!あれは事故で!」




「分かってるよ」



少し苦笑いする優



「…ありがと、来てくれて」




優が心配してくれるなんて、珍しいから


私も素直に嬉しかったから



私の口からはこんな言葉が出てきた




「なんだよ、凛

今日は素直だな」




「んな!
私はいっつも素直だわ!」



「どうだかな」と言ってヘラっと笑う




そんな優の姿に、またドキッと心臓が高鳴った





だから、なんなんだよ、これ…