なにか様子がおかしい。
そう感じて耳をすますと、どうやら泣いてる…っぽい。
息を震わせて、細い腕で必死に俺にしがみつく。
声をかければいいのか、涙をふいてやればいいのかさえわからない。
わからないけど、こいつは今俺に頼ってる。
困るけど嬉しいような、くすぐったいような気持ちで俺は…早く泣き止めとでも言うように、ゆっくりゆっくり頭をなでた。
名前も正体もわからないこんな女、俺が何かしてやる義理なんてないのに。
しばらくして静かな寝息が聞こえてきた。
寝てくれたのはいいけど、これだけしがみつかれてたらベッドから脱出出来ない。
あー参った。
…甘い。
ほっとする。
俺の中の汚い感情が消えていく。
そうだ、安心するんだ。こいつ。
そっとその体に腕を回して、髪に一つキスを落とした。

