俺が風呂に入ってる間、そいつは俺が貸したスウェットに着替えていた。

ダボダボすぎだろ。



持っていたものは何もなかった。
携帯も、鍵も、財布さえも。
身に付けた白いワンピース、それだけだ。



こいつに対する警戒心が全く無くなってるのは一体どういうことだ。
甘い香りで俺の頭がおかしくなったのか。
こいつの独特の雰囲気の成せる業なのか。
さっき抱きしめた体温に安心感を覚えたからなのか。



「お前、明日には帰るんだろ?何時にどこに行けばいいか教えてくれたら車出すけど」

「いえ、大丈夫です。明日はお休みですよね」

「俺は休みだけど…なんか、大丈夫なのかよ?ちゃんと帰れんの?」

「はい!ふわーっと帰ります」



なんかもう、正体を問い詰める気にもならない。

というか俺のスウェットに絶対甘い香りがうつってる。…洗ったらちゃんと落ちるか。



冷蔵庫から缶ビールを取り出して、プシュっとプルタブを開ける。
ぐいっと飲んでぷはー、最高。



「もう寝るか?」

「いえ、佐伯さんが起きてるなら私も起きてます」

「なんだそれ。別に先に寝てたって構わねえけど」

「だって、せっかくならたくさんお話したい」



おいおい、付き合いたてのカップルかよ。