ラブモーション



ガララッ

「失礼します・・・」


保健室の扉をあけると、そこには誰もいなかった。

保健の先生の工藤先生も、今日は出張なのか姿は見えない。

そういえば、扉に〝工藤はいません〟て張り紙、貼ってあったような気がする・・・。


ぼーっと保健室を見渡しながら、私は一番左のベッドのカーテンをあけた。

シャーッ


・・・・・よかった。誰もいない。


濡れた制服のまま、私は真っ白なシーツが敷かれたパイプベッドに寝転んだ。

ギシッっと軋んだ音が鳴る。

とても寝心地がいいなんてお世辞、言えたもんじゃないけれど、私はこの左端のベッドが好きだった。


たぶん、私以外は使っていないだろうと思う。


だって、ほかの二つのベッドはこのパイプベッドとは比べ物にならないほどにフカフカで寝心地がいい。

パイプなんかじゃなくて、本当にインテリアのよう素材を使っているからだろうと思うけれど。


このパイプのベッドは私に似ている。

そんな根拠の無い理由から、私は毎日のように保健室を訪れ、このパイプベッドで一休みをしている。


教室に居場所が無いっていうのもあるんだけれど・・・。


兎に角、ここは落ち着く。