七組の教室へと入る入り口に、まるで壁でも作ったように閉ざされた扉。
こうやって扉が閉まっているということは、なにか仕掛けられているということなのだ。
私は扉のドアノブにてをついて、はあ、とため息を吐いた。
ここで罠に引っかからなければ、あの人たちは気がすまない。
だったら、ここで、わざとかかってやる・・・・・っ。
決心したかのように下唇を噛み締めると、私は勢いよく扉を引いた。
そしてその瞬間に、足を前に進める。
ざわついていた教室内が、いっきに静まった。
バシャー
上から降り注いできた水、水、水。
その後に、バケツらしき大きなものが私の頭にゴツンと直撃した。
その瞬間に、どっと笑いが教室の中で飛び交い、響き渡る。
項垂れるように俯き垂れた私の首に、髪の毛を伝って雫が流れた。
私の無残な姿を見て、お腹を抱えながら笑い転げるクラスメイト達。
ぎゅっと握り締めた鞄、ふと髪の毛の隙間からのぞき見た。
さも可笑しそうに笑うみんなの中心に、机に腰をかけてひたと私を見据えるあの人。
可笑しそうに笑うことも無く、ただ真顔でじっと私を見つめる彼・・・・永倉くん。
――よかったね、かかってやったよ。さぞかし面白いでしょうね。
皮肉の意味もこめて、私は心の中でそう呟くと、くるっと回れ右をして来た廊下を戻った。
真顔の永倉くんと、目が合ったなんて、気のせいだ。
そう思いながら。


