学校に近づいてくると、
同じ高校の生徒が多くなってくる。
「…」
「美織ー、はい参考書」
由衣のその一言に異常に反応する私。
「どれ!?早く!」
「参考書で興奮するあんた…
ほんと、大丈夫か?」
大丈夫じゃなくてもいい!
参考書を見せろー!!
「はい、これ」
由衣が鞄から出した参考書。
これ、解りやすいし難しい問題があってワクワクする!
私は、勉強が人一倍大好きだ。
でも、こうやっておさげに眼鏡は、
別に意味があるんだけど。
よく皆には『地味子は勉強バカ』とか
言われてたけど。
勉強バカでもいいし。
「はぁー…新学期にワクワクしないで、
参考書でワクワクするなんて…」
その時、春風が吹いて、
由衣の言葉は聞こえなかった。
