選択者の理


「綺麗…」

私は雪降る街の中1人の少年を
見て思わず口からそんな言葉が出ていた。

どこか消えそうな雰囲気を
出している彼を私は追いかけた。

暗い路地に入ると彼は後ろを
振り向き私に話しかけてきた。

「ねぇ俺の後を付けて楽しい?」

「違う!!」

思わずそう叫んでいた。

「あっ、えっと…あの、その…
 綺麗だなって思って…
 思わず後ろをつけてしまったんです…
 本当にすみません…」

慌ててフォローを入れると

「フッ、アハハハハ」

「?」
 
「君、面白いこと言うね…
 俺は綺麗なんかじゃないよ」

爆笑したと思ったら
表情が一気に暗くなった。

「ねぇ私は倉木 夢叶。
 貴方はなんて言うの?」

一瞬驚いた表情をしていたけど
すぐに笑顔になった。

「俺は夏之 刹那」

この出会いが私達の運命を
変えるなんて今は誰にも分からない…