「何してるの?もう行くよ」 「う、うん!」 ギターケースを背負って部屋を出ると、心春ちゃんが怪訝な顔で私を見た。 「なんでギター?」 「だって、ギターは私の相棒!って、綾野くんが言ってたから!」 それに、理由はもうひとつあるんだ。 心春ちゃんは「雫らしいね」と、クスッと笑った。 私らしい。 記憶を失う前の私は、本当に音楽が大好きだったんだな――。