練習を終えると、俺はいつも通りの帰り道を歩いていた。


東青高校に入って、俺の高校生活は充実してきた。


友達もたくさんできて、野球にも本気で取り組めて、温かい仲間たちがいる。


あいつ、綾野湊には感謝してもしきれない。


もっと早くあいつに出会えてればよかったのに――。


ふと前を見ると、ギターケースを背負って歩く雫の姿が目にはいった。


きっとあいつの見舞いに行った帰りなんだろうな。


「雫!」


俺は雫のもとに駆け寄った。


雫がニッコリ笑う。