「……兄貴は忘れなくていい」 「えっ?」 なんで私が詠斗のこと考えてるって……。 「わかるよ。お前の考えてることくらい。お前も兄貴も分かりやすい」 笑いながらそう言うと、湊くんが真剣な目で私をみた。 「今は、兄貴を忘れなくていい。でも、いつか忘れさせてやるくらいに俺がお前を惚れさせる。覚えとけよ」 そんなカッコいい言葉。 言われちゃったら……。 「うん……」 それしか言えなくなっちゃうじゃん。