声が聞けたらいいのに。 でも詠斗は優しいから、きっとこう言うんだと思う。 『お前の好きにしていいよ』 って。 私は立ち上がると、詠斗の墓石に触れた。 ひんやり、冷たい。 「……ありがとう。大好きだよ。詠斗」 そう言って、墓を去った。 眩しいくらいの晴天が広がる、6月のこと――。