俺は、校庭でカーレースじゃなくて、鍵差しっぱなしだった生物の富岡のバイクを校庭で爆走させたことと、教頭のカツラを盗んで燃やしたんじゃなくて、盗んで洗濯して国旗掲揚台に干したことの誤解を解いて、早速、本題に入った。



「実は、一身上の都合がありまして、料理がうまくなりたいんです」



一身上の都合が何なのかはわからなかったが、おそらく家族のことだろう。
それ以上は聞いちゃいけない気がした。



「それなら、ぴったりの奴がいるから、習うといいよ。な?元気?」



佳祐が元気の背中をバシッっと叩き、元気は元気で胸を張る。



「なんたってこいつはかなりグルメで、美食家との料理対決で勝ったこともあるんだぜ!?」



佳祐、それはないない。



「本当ですか!?」



ほら、青葉ちゃん、目がキッラキラしてるし。



「まあ、俺に任せなさい!」



元気も元気で否定しないし、ハンスはハンスで何もしゃべんないし。



ま、どうせ



「フッ、作者の都合なのだよ」



とか言うに決まってるからいじらないでおこう。