ハウ・トゥー・GET・ザ・チョッコレイト☆





「あれ?どうした?イメチェン?」



声をかけてきたのは、東松山 凛子(ひがしまつやま りんこ)だ。



長い黒髪をなびかせているこの凛子とは、幼稚園から・・・いや、
生まれたころから家族ぐるみで付き合いがある、いわば幼馴染というやつだ。



家も隣同士で、幼稚園のころからずっと同じ学校に通っていて、毎朝一緒に登校している。というか、なぜかいつも一緒になる。



今朝もそうだ。



「どうよ?美容院ってとこで切ってもらったんだぜ?福山だぜ?桜坂だぜ?」



前髪をいじりながら凛子にアピールするが、その前髪を思いっきりわしゃわしゃと撫でられる。



「おまっ!何すんだよ!」



「なーにが、美容院よ!病院行って診てもらいなさいよ!」



「ははぁーん、さては、俺があまりにもかっこよすぎて惚れてんだろ?え?」



「なんかジローちゃんらしくないっていうか、正直、似合ってない」



カッー!
ムカツク。



本当なら、ここでチョップでも食らわすのが、男として在るべき俺なのだが、生憎、こいつの親父はプロレスラーで、その影響からか、こいつには腕力では敵わない。



俺の親友の一人、福島 元気(ふくしま げんき)という巨漢なんか、
廊下ですれ違っただけで、ラリアットを食らわされ、倒れて泡を吹く元気を見て、



「もう、元気くん、大袈裟だなー」



と高笑いするような女だ。



体格と面白さでは勝っているとはいえ、腕力でも、性格の悪さでも、ついでに、成績でもこいつには勝てない。