「元気、何やってんの?」
聞くと、元気は大きな巨漢を俺に向けた。
「何って、ジロー、もうすぐバレンタインデーでしょ?」
「だから?」
「だから?って馬鹿だなージロー。いい?女子は、チョッコレイトをどうやって渡すと思う?」
「んー、手渡し」
「それは、勇気ある鋼のメンタルを持った凛子ちゃんみたいな女子限定だって。例えば、あそこに座っている・・・」
元気が指をさす方向には、大崎 憂(おおさき うい)が机について何やら分厚い本を読んでいた。
「憂ちゃんみたいに暗くて大人しい女子は、そんなことできないでしょ?」
そう。
特に憂に関しては、かなりのネガティブ思考で、占いやジンクスといった類を思いっきり信じる。
そのため、朝の占いの結果が悪いと、その日は、ずーーーーーっとふさぎ込んでしまうのだ。
「まあ、確かにな・・・」
「そういう子は、靴箱とかロッカーにこっそり入れるんじゃないかってね。だから、こうしてロッカーを掃除してるんだよ。汚かったら、ひかれるし」
なるほど!
そういうことか!



