side:千鳥


――春。

それは出会いの季節。

満開に咲き誇った桜の下で、これから起こる出来事に胸を踊らせる季節。

期待と希望を胸に、私は第一歩を踏み出した―――……










……――はずなんだけど。





「だーかーらー!!なんであんたはお米の良さがわかんないの!!?朝ご飯は白米に決まってるじゃない!!」

「はっ、お前は考えが古いんだよ!!朝ご飯といえばパンに決まってんだろーが!1日の活力はパンでこそ補えるんだよ!!」





「…………………oh…」

「あ、ちどりんおはー!今日は1日英語で話すの?」

「……おはよう、亜矢。普通に日本語で話すよ……」

「ちょっと、ちどりーん?せっかく二年生に上がったのにテンション低いよー」

「いや、なんていうか、さ……」



「お、千鳥に亜矢じゃん。はよーっす」

「おはよう、2人とも」

「こたくーん!ひよちゃん!2人とも
おはー!」







「そうだよね教室入ったときあの二人の口論聞いた時からわかってたよこんなことになる気がしてたよ去年と全っ然顔ぶれ変わんねーなちくしょう!!!!」

「え、千鳥どうした」

「さぁ」

「さっきから変なんだよねー」

「つーかあの二人はまた喧嘩してんのか」

「朝ごはんは白米かパンか……これ何回目?」

「去年だけで72回!」




―――私立柏(かしわ)高校

本日をもって2年に進級した私、安藤千鳥には、新しい出会いなども到底やってこない模様です……







「白米よ!!」

「いやパンだ!!」





「いい加減にしろお前らぁーーー!!!」