無為(むい)

メリーゴーランド
回転木馬に
    あなた 
またがる想い人を

私は追ってる

すぐ後ろの木馬で。

三周目に入ったんだけど

距離が変わらない。

じれったい

でも

こわいんだ

こんなながめが
ガラス
硝子みたく粉々に

ぱぁーって散ってしまいそうで……。


   ひとりじめ

人ごみで

あやまってぶつかり

あなたの右かたに

ふれたくちびる

ジャケットにつけた

口紅は

あなたを

誰にも渡さないって

しるし


※卒業制作で、
造本を選択した。

当時、写植におされて、
廃れてきていた活版印刷で、
自分の本を1字1字、
活字を拾って、
組版して、
専門学校の設備を使って、
印刷したハードカバー本の
手作り詩集で、

最初に載せた詩と、
最後に載せた詩だ。

T先生とは、
何も進展なく、
私の片想い状態が続いた。

2年目の雑誌部には、
後輩たちが沢山入部した。

学生便覧の雑誌部の紹介した記事に載った写真には、
Yくんの両隣に、
私と、Sちゃんがいて、
女子の居ない学部の生徒の背中を押したらしい!?
そのうちの最後に入部したYくんの高校の後輩クンは、
Y先輩が、両手に花で、
どちらかと言えば、
ぴろ先輩の顔立ちが、
タイプだな〜と、
思ってやって来たと後に聞いた!!

その人は、
他の誰にも感じなかった超私のタイプだった!!

部活で一緒に取材しているうちに、
持病の事も知った上で、
付き合うようになって、
学生時代からの長い交際期間の末、
現在、私の夫になっている。

2歳年下の主人に逢うには、
専門学校の雑誌部に入らないと、
逢えなかったという事だった。

私は現在、主人に支えてもらいながら、
ずっと薬を飲み続けている持病と、
一生付き合う覚悟で生活している。