こ……これって、
ちょっとだけ、
期待しちゃっても、
良いのだろうか?

でも……。

期待、しちゃ……ダメだよね……。

私は単なる熱心な教え子に過ぎない……。

最後の追っかけの、
想い出……。


レストランでは、
窓際の席に案内された。
駅前の夜景が見える。

東京と違って、
駅前限定という夜景だけど……。

メニューを見て、

「決まりましたか?」

「はい!
こちらのお魚の料理でデザート付きの……。」

横文字は、フランス語みたいで、
読めないから、
日本語の説明書きを読みながら、
メニューを指差した。

「わかりました。」

T先生は、微笑んだ。

「俺も、同じにしよう。
すみません!」

ウェイターさんが、
やって来た。

T先生が、メニューを指差しながら、
注文してくれた♪

「お飲み物はいかがなさいますか?」

「俺は、白ワインをグラスで、
彼女は、アルコールはダメだから、
何かありますか?」

「はい、
こちらのメニューにございます!」

「貴女はどうしますか?」

「あっ、はい!
こちらの果汁百パーセントのジュースで……。」

「かしこまりました。
食前にお持ちしましょうか?」

「はい。
あ、乾杯したいから、
食前で良いよね?」

「はい……。
お願いします。」

「かしこまりました。」
ウェイターさんが、
一礼して、
下がった。

乾杯か〜♪

女の娘が、
憧れるシチュエーションだわ♪

「俺の講義、わかりやすかったですか?」

「はい!
とっても!!」

「そっか、良かった。」

「失礼します。
ワインと、ジュースをお持ちいたしました。」

「ありがとう。」

T先生は、
ウェイターさんに、
声をかけ、

テーブルに置かれたグラスに手をやった。

「乾杯しましょうか?」

「はい!」


「1年間頑張りました!
お疲れ様でした!
乾杯!」

「乾杯!」

カツン!

グラスが、
心地よい響きで鳴り、
私は、嬉しさのあまり、
ノンアルコールでも、
上機嫌に酔ったみたいな心持ちになった♪

「中国で、乾杯(カンペイ)って言うと、
杯(さかずき)を乾かす。
つまり、杯のお酒を飲み干すという意味ですね。
中国では、
イッキ飲みに強くないと、
大変です。
私は、そんなに酒強くなくて、
すぐに酔っぱらいますから、
私は、ゆっくり日本式に飲みます。」

「そうなんですか!」

前菜と、スープが運ばれてきた。