珍しく私は、家電(家の電話)の子機を自分から取っていた!!

今日は、母が買い物で不在だった。

「もしもし……。
瀬崎です。」

私は、電話に出るのが苦手だった!!

「あ!
ぴろ?
俺だよ、
高校の元クラスメートの……。」

誰!?

「えっと……声だけだと、
わからないな〜!?」

「Fだよ……。」

「あ!
Fくん?
久しぶり!」

よく話しかけてきたグループの一人で、
確か斜め前の席だったこともある。

「ぴろはどうしてる?
受験したんだろ?」

「うん、落ちて浪人中。」

「俺も!!
今、宅浪中。」

「予備校行かないんだ!!」

「おぅ!!」

「私は、予備校行ってる。」

「そっか、
なんか、ちょっと話があるんだけど、
いつ暇?」

「話?」

相談事かな?

「明日だったら、
予備校帰りだから、
U駅前に3時かな?」

「明日の3時か、
わかった!!」

Fくんは、
たまにしか話した事がない。
何でか私に突然電話してきた。


そして、約束の時間。
Fくんは待ち合わせの場所にいた。

「久しぶり!」

「おぅ!!
ぴろ。」

「話って?」

「ここじゃ、なんだから。」

「そうね。」

立ち話もなんだから……。

駅前から、
線路沿いに、
歩き出した。

どこまで行くのかな?

商店街を抜けて、
人気(ひとけ)のすくなくなる住宅街にやって来た。

「話って何?」

「あ……。
あのな、
Sたちがたまに来るんだが、
あいつら、
大学生とかでよ〜!!」

「あぁ、
それは、
ちょっと複雑ね。」

「そうなんだ!!
あいつらにも、
彼女とか出来て……。」

「そうなんだ〜!!
うちらには、
受験だけで、
頑張るしかないね!!
恋愛とかで、
勉強時間減らしたくないもん!!」

「ぴろ……。」

「どうしたの?」

Fくんは頭をかいた!!

「俺……。
あいつらが、
羨ましくてな……。」

「仕方ないよ、
大学生になるまで、
我慢して、
大学にきっと、
かわいい娘いるんじゃない?
それをバネにしたら?」

「ぴろは、彼氏とか……?」

「受験終わるまで、
考えていない。
恋愛は、大学に行ってからのお楽しみにするよ。」

「なんだ……。
そうなんだ……。」

「Fくん?」

Fくんは、苦笑した。

「俺、
何でぴろに電話したと思う?」

「さあ?」

「そっか……。
いや、いい。
忘れてくれ!
今日、俺と会ったって、
誰にも言わないでくれ!」

「わかった!!
最近、高校の連中に全然会ってないから、
大丈夫よ。
宅浪だと、
メリハリ無いんじゃない?
予備校とか、
けっこうメリハリつくよ?」

「そうだな……。
今日はありがとうな!」

「お互い頑張ろうね!!」

「おぅ!!」

Fくんの愚痴を聞きに呼び出されたのだな〜と、
その時は思ったけど、

Fくんが、
彼女にならないか?
と、
告白するつもりだったのかもしれない!?

Fくんは全然タイプじゃなかったので、
これで良かったんだと思う。

この日以来、
Fくんとは御無沙汰している。