まだ、借りた傘を返せていなかった
「どうしよう… 早く返さなきゃ」
「でも、名前もわかんないし」
「あの人、なんて名前なんだろう」
「よく考えたら、格好いい人だったな、同じ学年かな」
「 今日、星奈に付き合ってもらってあの人探しに行こう」
傘を貸してくれた人が吉倉奏葉だったなんて…
お昼の時間、私達は初めて屋上に行った
まさか、君に会うなんて
結葉 「屋上っていいね、風が気持ち良いし」
星奈 「うん」
私は、星奈にあの雨の日の話をした
星奈 「どんな人?」
結葉 「背が高くて、格好よかったってあれ!? あの人!」
星奈 「えー、誰って!?吉倉奏葉じゃん!!」
結葉 「えー!?私、あの人の笑顔見たよ!」
星奈 「うそー!それってすごいことじゃん」
結葉 「私、お礼言ってくる」
私は、君に近づく
結葉 「あの、雨の日に傘を借りた2年2組の浅本結葉です。」
奏葉 「 あ―」
京 「あっ、男子に人気の娘だ―!」
結葉 「えっ?」
奏葉 「気にしなくていいよ、こいつのこと」
京 「ひどいぞー! 奏葉ー!」
奏葉 「 うるせー」
結葉 「 あはは! あっ、あのときは、本当にありがとうございました」
奏葉 「いいえ」
結葉 「放課後、傘、返しに行きます。何組ですか?」
奏葉 「7組」
結葉 「じゃあ、放課後に渡しに行きます。 あとで」
京 「じゃあねー!」
雨の日はあんまりわからなかったけどあんなに格好いい人だったなんて
背が高くて、黒髪で、モデルにだって全然なれるようなレベルだった
私、あの人の笑顔を初めて見ちゃったってこと?!
そのあと、私は星奈と吉倉奏葉くんの話をした
私は、このとき、まだ自分の気持ちがわからなかった…

