夜人【ヨルヒト】さん

椅子を投げ出し、サナミは棚に走った。

置かれているアルコールランプを掴み、震える手で蓋をむしり取る。

チサエの方へとそれを投げた。

2個、3個と繰り返す。転がった瓶から透明の液体がこぼれ、辺りにアルコール臭が漂った。

不自然な倒れ方をしていたチサエの身体が動いた。

最後の一つを投げつけ、サナミは棚にあったライターを持った。

ランプの抜き取った芯の一つに火をつける。

投げようと振り上げたサナミの目に、立ち尽くすチサエが見えた。


「サ ナ」


いつもと同じ、少し高い甘えた声。

崩れた、顔。

「わああああああっ!」