夜人【ヨルヒト】さん

サナミの喉が鳴った。

空気の抜ける笛のような音が、理科室に流れる。

「チサ……チサエ……」

原型をとどめていない友人の顔に、声が上ずった。

「ザ……ナみィ……」

応えるように、声が漏れる。

だが、それはもう人間の声ではなかった。

内側から押し上げられるような、不自然な動きでチサエの身体が持ち上がった。

のけぞっていた首ががくりと下を向く。

長い舌が、口からだらりとはみ出した。