夜人が、床に散らばる携帯の欠片を見た。 雷鳴がとどろき、窓の向こうが白く光る。 そこに、夜人の姿は映らなかった。 夜人が口を開く。 「トキコ サナミ チサエ」 水の底から響いてくるような不鮮明な声。ごぼり、と喉が鳴った。