夜人【ヨルヒト】さん

(どうせまた開かないだろう)

疑念が、眉間に深く皺を刻む。

(……携帯)

ふっと言葉が頭に浮かんだ。

(さっき投げ捨てた携帯なら、外に連絡ができる)

静かに身体を起こす。

もう一度辺りを見回し、サナミは足を踏み出した。

靴底で、ガラスがじゃり、と音を立てる。

慎重に歩を進める。

準備室のドアの奥に、開いたまま転がっている携帯が見えた。

「…………」

唇を噛み締める。