夜人【ヨルヒト】さん

その横に、フナの解剖標本。

ブタの心臓。

頭が二つあるヘビ。

ホルマリンで色が抜け、白っぽくなった標本を詰めた瓶が、空中を漂っていた。

「…………」

ごくりと唾を飲む。

痛む右手を、傍らの丸椅子にかけ、そっと握り締める。

床を擦った椅子の足が、ぎぎ、と音を立てた。

それを合図に、標本がサナミに向かって次々と落ちてきた。

「ああああああああ!」

叫びながら、サナミは椅子を振り回した。

弾き飛ばされた瓶が砕け、跳ね飛び、辺り中に死体とホルマリンを撒き散らす。