夜人【ヨルヒト】さん

薬瓶が宙を滑った。サナミの顔の正面へと向かってくる。

「ヒッ!」

寸前で、サナミは床に伏せた。

かわされた薬瓶が、背後の机の角で砕けた。

細かいガラスの欠片が飛び散り、バラバラと音を立てる。

刺激臭が鼻をついた。

顔を背け、床を這うようにしてそこを離れる。

息を切らしながら、サナミはエミカのいた場所を見た。

エミカの姿がない。

呆然とするサナミの視界に、カエルの解剖標本が入った。

内臓を晒しホルマリン漬けになったカエルの標本が、宙に浮かんでいる。