夜人【ヨルヒト】さん

「くそっ!」

振り向き、教室を見回す。

エミカの姿はなかった。

視線を泳がせたサナミは、一番近い机に駆け寄り、丸椅子を持った。

頭上に掲げ、力いっぱい扉に叩きつける。

丸椅子の角が、ガラスに当たった。

ガン、と堅い音を立て、椅子が跳ね返った。

サナミの必死さを嘲笑うように、教室の中ほどまで転がっていく。

「なんでだよ! ちくしょう!」

叫び声を上げ、サナミは地面を蹴った。

窓へと駆け寄る。

カーテンをはね上げ、窓の鍵に手をかけた。