夜人【ヨルヒト】さん

首筋が総毛立った。

身を翻し、サナミは準備室を飛び出した。

(逃げなきゃ!)

その思いだけが思考を支配していた。

机の間を走りぬけ、扉に手を掛ける。

開かない。

「?!」

鍵は外れ、扉にぶら下がっている。

なのに、何かに固定されたように動かない。

「なんで……なんで!!」

叫び、扉を揺さぶった。

拳で叩き、蹴りを入れる。

だが、扉は耳障りな音を立てるだけで、まるで動こうとしなかった。