夜人【ヨルヒト】さん

もう一度掴みかかろうとしたサナミの目前に、エミカが携帯電話を突き出した。

見覚えのあるストラップ。

携帯の全体が濡れ、ボタボタと雫を垂らしている。

「これ……チサエの……?!」

「大事なオトモダチの携帯でしょ?」

携帯の間から、藻が滑り落ちて床をべしゃりと鳴らした。

「まだトリックとか作り物って言う?」

笑いを含んだ声が、サナミの耳に突き刺さる。

「最初が私、次がチサエ。その次は」

携帯が床に落ちる。

真っ直ぐに伸ばした人差し指が、サナミの顔をひたりと指す。



「あなたの番」