夜人【ヨルヒト】さん

「く……くくくっ……」

エミカが、喉を鳴らす不気味な笑い声を漏らした。

サナミから視線を外さないまま、ゆっくりと立ち上がる。

「そうやって脅せば、私が言うこと聞くと思ってるんだ?」

壁を向いていた身体が、捩れを解くようにサナミへと向き直る。

首に刻まれた赤黒いアザが、薄闇でもはっきりと見てとれた。

「余計なことはいいんだよ!」

苛々とサナミが怒鳴る。

「チサエはどこにいるのかだけ言え!」



突然着メロが鳴った。