夜人【ヨルヒト】さん

「苦しい?」

笑ったままの口元が、そうチサエに語りかける。

エミカの手がチサエの頭を掴んだ。

凄まじい力が、チサエの頭を水に押し込む。

『ゴボッ! ガボ……!』

驚きと恐怖で吐き出す空気が、泡となってたちのぼり消える。

押さえつける力が消えた。

「ぶはっ!」

水を吐き出しながら、チサエは必死で顔を上げた。

霞む視界が、一瞬で開ける。

同じように、エミカが見下ろしていた。

底のない沼のような瞳、吊り上がったままの唇。

頭を掴まれる感触。

「じゃ、もう1回いこうか」