夜人【ヨルヒト】さん

「なのに今日普通に出てきて……首に包帯巻いて不気味な顔して。気持ち悪くてパニクっちゃってさ。それだけのことなんだけど……アハハ」

気恥ずかしさで、チサエは乾いた笑いを漏らした。

「なんかこうやって話すと、全然大したことないね。あーなんか格好悪い!」

「…………」

イサキは押し黙っている。

気まずくなり、チサエは手の中のコップに視線を落とした。

半分ほど残っている麦茶が揺れている。




その水面に、ポタリと水滴が落ちた。