夜人【ヨルヒト】さん

「え……?」

「悲鳴、あげてたから……何があったの?」

言った後、イサキは慌てたように付け足した。

「無理にとは言わないけど……気になって」

「あ、うん……」

うつむき、手の中にあるコップを見つめる。

(あのバカ女)

恐怖が怒りに転化しているのを感じ、チサエは苛々と唇を噛んだ。

「……クラスに、嫌な女がいるの」

「嫌な女?」

視界の端に、首を傾げるイサキが映った。

「嫌な女。見るだけでムカつくんだ。トロくて暗くて何考えてるか分かんない顔して」