夜人【ヨルヒト】さん

「そうなんだ……どうしてここに?」

「体育を見学していたら、君が走っていくのが見えて」

かすかに首を傾げる。

「様子がおかしかったから、来てみたんだ。走れないから遅くなってしまって……もっと早く来れればよかったね。ごめん」

イサキの声に悔恨が混じる。

チサエは慌てて首を振った。

「そんな……すごく助かった。ありがとう。死ぬかと……」

不意に、エミカの顔が脳裏に蘇った。

ごくりと息を呑む。

「死ぬ……かと、思った……」