夜人【ヨルヒト】さん

外の光の眩しさに、チサエは顔をしかめた。

逆光で真っ暗になった視界が、徐々に色彩を取り戻す。

「大丈夫? ケガとかしてない?」

目の前に、見知らぬ男子生徒が立っていた。

線が細く、白い肌が少し病的な雰囲気を持っている。染めていない黒髪が頬にかかり、その印象を強めていた。

人形のように整った顔が不気味に映り、チサエはたじろいだ。

だが、切れ長の瞳が湛える光は優しかった。

困惑と気遣いが入り混じった眼差しで、チサエを見つめながらそっと手を差し伸べてくる。