夜人【ヨルヒト】さん

心配そうな声が、おずおずと尋ねてくる。

顔を上げ、人影を見る。

白の半袖ワイシャツと、黒のパンツ。

うっすらと、男子学生の姿が見て取れた。

詰めていた息を吐き出し、チサエは安堵で顔を歪めた。

「た……助けて……」

震える脚で立ち上がり、よろけながら扉へと近づく。

「……大丈夫?」

なだめるような声の優しさに、チサエの目から涙が流れた。

ドアに辿り着き、鍵を外す。