夜人【ヨルヒト】さん

「ヒッ!」

息を呑み、チサエは身体を竦ませた。

ドアにはめ込まれた曇りガラスに、人影が映っている。

ドアが叩かれる。2度。3度。

「いや……いやあっ!」

叫び、耳を塞ぐ。その耳に、声が届いた。



「どうしたんですか? 何かあったんですか?」