無我夢中で走った。

背後の足音も、呻き声も、全然遠くならない。

(どこか……どこかに隠れ……)

金網に覆われたプールと、中に建つ更衣室が目に入った。

足が、もつれながらもそちらを目指した。

夏休みは数ヶ月先。気味の悪い緑に濁った水がプールを満たしている。

錠前のかかった扉を掴むと、錠前が外れて足元に転がった。

5段の階段を駆け上がる。