夜人【ヨルヒト】さん

振り返ると、僅かずつながら二人が近づいているのが見て取れた。

恐怖に歯が鳴る。

「飛び降りろ!」

下からユキオミが怒鳴る。

「えっ……」

トキコは息を呑んだ。

部屋は2階で、途中に飛び移れる場所はない。狭い庭があるだけだ。

「降りろ! 俺が受け止めるから!」

両腕を広げ、ユキオミが声を張り上げている。

その地面が、ひどく遠く感じられた。

(そんな……無理……)

ごつ、と背後で音がした。