目が、合った。 飲み口の向こうから、充血した目がトキコを凝視している。 見開いた目は濁り、底がないほどに冥い。 カチ、カチという音が、脳内で映像を結んだ。 内側を掻いている……外に出ようと、引っ掻いている。 (ああ……チサエだ) そこでやっと意識の焦点があった。 「ヒッ!」 叫び、缶を投げる。 カーペットにコーラが飛び散った。