夜人【ヨルヒト】さん

旧校舎の廊下は真っ暗で、ただ長いトンネルのように見えた。

窓の外は暗闇に包まれている。

その不自然さを考える余裕すら、トキコにはなかった。

(あの場所にいてはいけない)

(できるだけ離れなければ)

ただそれだけを、本能が叫び続けていた。

階段を駆け降り、通用口へ飛びつく。



外に出た瞬間、何かにぶつかった。

「キャアアアアアアア!」

押し留められていた悲鳴が、一気に溢れた。